平成28年度 事業報告
平成29年度事業計画 平成29年度予定表 印刷用PDF 平成29年3月31日
はじめに
障害者権利条約の批准を受けての最後の法整備となった「障害者差別解消法」が平成28年4月より施行されました。障害を理由に不利益な扱いや、個々人の障害特性に対する合理的配慮を行政や企業に義務づけられ、共生社会の実現に向けて踏み出しかけた矢先、7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障害者入所施設「津久井やまゆり園」で、痛ましい事件が起こりました。容疑者は、「障害者はいなくなればいい」と理不尽な理由で、一人ひとりの掛け替えのない命を人としての尊厳と共に奪い去った行為は到底許す事は出来ません。どのような事情背景であっても、一人ひとりの命の優劣をつけてはいけません。「全国手をつなぐ育成会連合会」の久保会長は、いち早く本人へ「堂々と生きてください」の声明文を出されました。多くの関係者に勇気を与えました。育成会は、知的障がいのある人とその家族による当事者団体として、人権擁護と共生社会の実現に向けた活動を更にすすめていく必要があります。 平成28年5月より「成年後見制度利用促進法」が施行されました。9月から内閣府に「成年後見利用促進委員会」が設置され、意思決定支援と身上保護を重視した成年後見利用促進の基本計画の作成に向けて議論されました。
奈良県では、「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」が平成28年4月から完全施行し、健康福祉部障害福祉課に「障害を理由とする差別に関する専用窓口」と「障害者権利擁護センター」が創設されました。 障害者の芸術・文化の振興として、第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会に向けて運営委員会が設置され、障害者大芸術祭のプレイベント「まほろばあいのわコンサート」に本人の会「サンメイト」のメンバーが出場しました。作品展には、サンメイトの合同作品の「つまみ絵」を展示しました。 「全国第16回障害者スポーツ大会」は、震災復興を願い、「希望郷いわて大会」が開催され、知的部門の水泳で大会新の記録が出ました。
奈良県手をつなぐ育成会では、「第55回近畿知的障がい者福祉大会」を11月20日に、各市町村育成会をはじめ、関係機関、関係団体やボランティアのご協力・ご厚志を得て盛大に開催することが出来ました。(参加者数:約650名) この大会は『「知的障害のある人の老いを考える、(医療保障)」〜医療、福祉、介護の充実と連携〜』をテーマに掲げ、基調講演とシンポジュームを開催しました。並行して、「医療アンケート」を会員向けに実施しました。アンケートの回収率は73%で、医療への関心の深さを確認しました。その後、医療アンケート検討会を設置し、集計結果を精査し報告書作成に向けて会議を重ねているところです。 全国手をつなぐ育成会連合会の「市町村活性化事業」を10月に、香芝市手をつなぐ育成会が取り組みました。「出会い・受け止め・つながり〜障がい受容から社会参加に向けて」をテーマに掲げ開催しました。約260人の参加がありました。「障がいのあるわが子」を受け止め、育み、支える人との出会いやつながりの大切さを確認することができ、共生社会の実現について考える機会になりました。また、奈良県手をつなぐ育成会でも市町村活性化に向けて、10月に「奈良県手をつなぐ育成会リーダー研修会」を、“各市町村育成会における永続的な活動を目指して”をテーマに掲げ開催しました。市町村育成会の実情や課題を拾いあげ、学齢期の保護者を巻き込むために滋賀県草津市育成会「よかサポ隊」より中島由里子氏を講師に招き、活動の工夫等を学びました。 本人活動は、「第55回近畿知的障がい者福祉大会・本人大会〜みんな元気で みんな楽しく みんなで集う〜」を開催しました。分科会の進め方や、決議文などについて「近畿みんなで集まる会」の会議を重ね、話し合いました。12月には、「障害者虐待防止法」についてのロールプレイによるワークショプを行いました。そのほかには、クリスマス会、新成人の集い、合同運動会、クラブ活動の事業も活発に行われ、近畿の仲間とのつながりや交流を深めることができました。 「まほろばあいサポート運動」に参画し、警察学校等に訪問を重ね障害者理解啓発活動に努めました。そのほかに委員会活動や奈良県委託事業も推進いたしました。 今年度も、研修や啓発活動を充実させた年でしたが、さらに「津久井やまゆり園殺傷事件」が意味する、「優生思想」「ヘイトクライム」などの社会偏見や差別を取り除くためにも「育成会活動」を地域に根ざしていかなくてはならないと強く感じた年でした。
|
|
(1) |
知的障がい者児の発達・成長のための環境を整える @教育環境への提言 各市町村教育委員会における教育相談でひとりひとりの児童生徒の個性と能力が生かされ発揮できるよう教育相談員として助言と提言をしました。 A「障害者差別解消法」と「合理的配慮」の周知 平成28年7月26日未明におきた「津久井やまゆり園殺傷事件」についての意見交換会を開き、二度とこのような事件がおきない社会環境づくりに努めてほしいことを国や地方自治体に要望しました。(近畿大会決議文による) B市町村育成会の権利擁護活動 障がいのある本人が地域での日常生活を送る中、発生したトラブルについて、本人の思いや願い、特性を関係機関や警察との話し合いを重ね理解を求めました。 C「第38回新成人のつどい」(平成29年1月8日)の開催 新成人を祝い、親のこれまでの養育に敬意を表しました。学校教育終了後の2年間を振り返り、社会参加への円滑な移行、今後の生活設計ができているかを検証しました。本年度も奈良県社会福祉総合センターにおいて手作りの会場でしたが、一体感がありあたたかい祝賀の場となりました。 D障害者週間の取り組み 障がい者の社会参加促進のためには地域社会の障がい者理解の浸透が不可欠です。障害者週間に近鉄奈良駅・八木駅・JR奈良駅において啓発ティッシュの配布活動をしました。 また各市町村においては「知ってほしいな!わたしたちのこと」のリーフレットを各小学校に届け、障がい者理解教育のなお一層の取り組みについてお願いしました。(赤い羽根共同募金事業)
|
(2) |
知的障がい者児とその家族の幸せの向上を図る
@まほろば「あいサポート運動」への協力 多くの地域・場所でメッセンジャーの役目を果たし、あいサポーターの増員に貢献しました。(別表参照) A障がいのある人の生活の場の選択と意思決定支援 親なき後を見すえ、どこで誰と暮らすかの選択をするためには意思決定支援が大切です。家族を含めて障がいのある人にかかわる人たちがふだんの生活の中でどのような支援の積み重ねが大切かをこれからも考えていきたいと思います。
|
(3) |
一般社団法人奈良県手をつなぐ育成会の活動が 実行委員会を中心に全員の力を結集し成功に終えることができました。またその取り組みの中から今後の活動指針を確認することができました。 A「手をつなぐ」の拡販と賛助会員増員 市町村代表者を通じて各地域における関係機関へ購読のお願いをしたり、会員内でのさらなる拡販を呼びかけました。賛助会員については前年度会員の方々に引き続き会員として協力していただけるようお願いの文書を送りました。 B各委員会における平成28年度事業詳細については「委員会実績報告」を参照してください。
|
(4) |
県外研修
・平成28年7月2日〜3日 神奈川県横浜市 ・大会スローガン 誕生した大切な命だから、一人ひとり充実した一生を! A第20回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会リーダー養成研修会参加 ・平成29年2月16日 京都市 ・テーマ これからの暮らしの場を考える
|
(5) | 奈良県委託事業
A奈良県知的障害者本人活動支援事業 B奈良県知的障害者相談員強化事業 |
(6) | 関係機関 |
A奈良県障害者スポーツ協会への参画 B奈良県知的障害者施設協会との連携 C奈良県障害者福祉連合協議会への参画 D奈良県特別支援教育関係機関との連携・協力 E奈良県発達障害支援センター「でぃあー」との連携 F奈良県自立支援協議会との連携 |
|