国の福祉改革は、少子・高齢化、住民ニーズの多様化する課題の中、地域で暮らす人たちが共に支え合う社会づくり、「我が事丸ごと地域共生社会」の実現に向けて動いています。
平成29年度は、「改正障害者総合支援法」の施行に向けて、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」が5月に設置され、47の関係団体からのヒヤリングを実施しました。また「改正障害者総合支援法」等で創設された新サービスや既存サービスの報酬等の在り方が検討されました。そして、平成30年2月5日に報酬改定の概要が示されました。この報酬改定は、当初、財務省からの社会保障費の抑制策が示され、「全国手をつなぐ育成会連合会」等の関係団体(25団体)は、障害福祉サービス基盤低下への危機感をいだき11月2日に要望活動を行いました。当会も12月16日に「平成30年度 報酬改定 要望集会 奈良」を関係団体の賛同と協力を得て開催しました。障害・児童・高齢の分野の法人が一同に会し奈良県選出の国会議員の全員のご臨席の下、要望表明と要望書の手交をしました。
権利擁護の視点では、全国では、埼玉県上尾市の「コスモスアース」や、栃木県宇都宮市「ビ・ブライト」等で悪質な虐待事件が起きています。奈良県では、グループホームでの性的虐待の事案もありました。そんな中、11月29日に知的障害のある人をより良く知ってもらうために「奈良県障害虐待防止・権利擁護研修会」で、本人の会「サンメイト」の本人が体験発表をする機会を持ちました。
奈良県では、「奈良県手話言語条例」が、4月1日より施行しました。知的障害者相談員研修会において『「奈良県手話言語条例」の意義と経緯〜共生社会の実現の中で手話を身近に〜』と題して研修し、聴覚障害のある人への理解に努めました。
「全国手をつなぐ育成会連合会」では、知的・発達障害への理解啓発活動として、各地域での疑似体験によるキャラバン隊の普及に力を入れています。当会は、障害理解啓発のリーフレット『「知ってほしいな!」わたしたちのこと』を、関係機関の先生方等の監修を経て改訂し、配布をいたしました。【赤い羽根共同募金事業】また、奈良県の「まほろばあいサポート運動」のメッセンジャーとして、警察学校や地域の学校等へ出向き啓発を行いました。
障害のある人の芸術文化の関わりは、奈良県では、9月〜11月に「第32回国民文化祭・なら2017」と「第17回全国障害者芸術・文化祭・なら大 会」が、全国で初めて一体開催されました。
本人の会「サンメイト」から「かしばよさこい祭」への出演、「まほろばあいのわコンサート」への参加や「第55回近畿知的障がい者福祉大会・本人大会」で作製した合同作品(つまみ絵)を奈良県障害者作品展に出展しました。
研修事業として、6月26日に『子育て中のお母さんための研修会 〜接し方でこんなに変わる〜「問題行動」を望ましい行動へ』をテーマに応用分析学の視点から畿央大学の大久保賢一准教授を招き講演会を開催しました。会員外の参加が多く盛況でした。アンケート等の子育て中のお母さんたちの声を反映した企画でした。
10月27日に第47回奈良県手をつなぐ育成会研究大会・本大会「これからどうなる?知的障がいのある人の暮らし」と題して開催しました。政策センター委員の又村あおい氏と奈良県障害福祉課より講師を招き、高齢化・重度化を見据え、緊急時の受け入れ・専門性のある居住支援整備として、「地域生活支援拠点整備」と「障害者総合支援法施行3年後の見直し」ついて研修を深めました。
平成30年2月21日には、全国手をつなぐ育成会連合会 統括 田中正博氏を講師に招き「2018年障害福祉のこれから 私たちは、何をすべきか?」と題して権利擁護研修会を開催しました。内容は「今後の育成会活動」・「新たな障害福祉サービス」・「平成30年度報酬改定」・「地域生活支援拠点整備」等と多岐にわたりました。特に、わが子らの「困り感」から「将来の希望する暮らし」への計画相談の重要性や今後どのように関係機関につなげるのか?を教示するものでした。
医療問題は、医療アンケート結果に基づき、平成29年2月から医療検討会を設置し知的障害者の医療の実態を明らかにして、「知的・発達障害のある人の地域医療の充実に向けて〜わが子らの親なき後をふまえ地域で見守られ、安心して医療を受ける〜」と題しての報告書にまとめました。報告書は、「平成29年度の知的障害者の福祉・医療施策」要望書として9月に奈良県に提出しました。その後、障害福祉課との懇談会(医療ケアのある人の実情を訴える場)を設けましたが、共感的な感想や助言はありませんでした。12月3日に「医療アンケート結果でみえてきたもの」と題して「奈良障害フォーラム(NDF)」の医療シンポジウムで、知的障害のある人の医療の現状を訴えることが出来ました。予診表の普及や、関係機関への啓発の課題は残りました。
「第39回新成人のつどい」は、国会議員の方々の臨席の下、養護学校の先生方やサンメイトの仲間が見守る中で、感動と共感のつどいになりました。
平成29年度に事業は、概ね、予定通りに推進できたと思います。また、要望集会を通じて、関係団体とのつながりの大切さを感じた1年でもありました。
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平成29年事業報告(研修会等)(県内)
開催年月日 |
事 業 内 容 |
開催場所 |
平成29年
4月21日
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「平成29年奈良県・障害福祉行政説明会」
「第32回全国国民文化祭」「第17回全国障害者芸術・文化祭」の説明会(32名) |
奈良県社会福祉総合センター |
6月 2日 |
第30回奈良県手をつなぐ育成会 総会
講演「福祉避難所について」(514名) |
奈良県社会福祉総合センター |
6月26日
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子育て中のお母さんのための研修会
「接し方でこんなに変わる
〜問題行動から望ましい行動へ〜
(183名) |
奈良県社会福祉総合センター |
7月12日 |
HAPPYRING(10名) |
橿原公苑本館 |
7月21日 |
相談援助の基本と双極性障害について |
奈良県社会福祉総合センター |
9月13日 |
HAPPYRING(12名) |
9月20日 |
知的障害者相談員研修会(25名)
奈良県手話言語条例の意義と経緯 |
奈良県社会福祉総合センター
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10月16日 |
「親なき後問題」に備える民事信託
(20名) |
10月27日 |
第47回奈良県手をつなぐ育成会研究大会
「これからどうなる?知的障がいのある人の暮らし」 (140名) |
11月 8日 |
HAPPYRING (12名) |
12月16日 |
平成30年度 報酬改定要望集会 奈良
(75名) |
平成30年
1月 7日 |
第39回新成人のつどい (65名) |
1月22日 |
仔鹿園の保護者との交流会 (30名) |
奈良仔鹿園 |
2月21日
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2018年「障害福祉のこれから
私たちは、何をすべきか?」
(68名) |
橿原中央公民館 |
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平成29年度 全育連・近畿連絡協議会 関係
開催日時 |
内 容 |
開 催 場 所 |
平成29年
6月30日 |
第4回全国手をつなぐ育成会連合会・総会 |
東京 |
9月23日
〜24日 |
第4回全国手をつなぐ育成会連合会・北海道大会
「今こそ創ろう
自信と誇りをもって生きる社会を共に」 |
北海道・札幌市
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平成30年
1月 9日 |
全国手をつなぐ育成会連合会政策センター委員会
・今後の制度改正に向けて
・各市町村でできるガイドライン |
横浜 |
平成30年
1月26日 |
全国手をつなぐ育成会連合会
第6回権利擁護セミナー
「障害者の権利擁護を地域活動につなげよう」 |
広島 |
3月 1日
〜2日 |
2017度全国手をつなぐ育成会連合会
フォーラム&行政説明会
全国手をつなぐ育成会連合会・代表者・事務局長会議 |
東京 |
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平成29年11月19日 |
第56回近畿知的障がい者福祉大会
「ようおこし共生社会に向けて語り合おう」 |
大阪市 |
平成30年1月30日 |
第21回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会
リーダー養成研修会
「地域共生社会の実現を目指して〜 知的障がい疑似体験」 |
神戸市 |
平成29年4月10日 |
第1回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
大阪 |
6月 5日 |
第2回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
大阪 |
9月 4日 |
第3回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
大阪 |
10月23日 |
第4回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
大阪 |
12月 4日 |
第5回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
大阪 |
平成30年
2月 5日 |
第6回近畿手をつなぐ育成会連絡協議会 |
京都市 |
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◎ |
社会参加促進事業
@本人の会「サンメイト」の育成
A第17回奈良県障害者スポーツ大会への参加
B第17回全国障害者スポーツ大会(愛媛大会)への参加
C第39回新成人のつどい
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◎ |
社会啓発事業
@「この子らを世の光」運動
A障害者週間の取りくみ(12月3日〜12月9日)
・12月3日に社会参加推進センターの取り組みの一環として、近鉄奈良駅・八木駅・JR奈良駅で啓発ティッシュの配布
・各市町村において改訂した『「知ってほしいな!」わたしたちのこと』のリーフレットを各小学校や養護学校に配布
B「奈良県まほろばあいサポート運動」推進
C全国手をつなぐ育成会連合会の機関誌「手をつなぐ」の推進 (購読総数 7764冊)
D「奈良県手をつなぐ親たち」広報誌の発行・配布
E「本人の会全員集合」広報誌の発行・配布
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◎ |
障害者権利擁護事業
@成年後見制度の利用促進
A意思決定支援の推進
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◎ |
奈良県受託事業 @奈良県障害者110番事業委託事業
A奈良県知的障害者本人活動支援事業
B奈良県知的障害者相談員強化事業
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◎ |
関係機関との連携
@社会福祉法人奈良県手をつなぐ育成会
A奈良県障害者スポーツ協会
B奈良県知的障害者施設協会
C奈良県障害者福祉連合協議会
D奈良県特別支援教育関係機関
E奈良県社会参加推進センター
F奈良障害フォーラム(NDF)
G奈良県発達障害支援センター「でぃあー」
H奈良県自立支援協議会 |
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